2010.07.20
『A Single Man (シングルマン)』 
ゲイ映画が悲しいエンディングを迎えがちなのはなぜかぴら?
トム・フォード初監督作品『シングルマン』を観てつよこ考えちゃったわ。
人は誰もがひとりだと分かっているけど、
社会に帰属できないマイノリティー、ゲイたちの孤独も深いわ。
自分の本質を家族にも友達にも話すことができない思春期の頃からの苦悩。
宇宙の中でひとりぼっちになってしまったような感覚。
自分を隠し続けてまわりにあわせながら生きる虚しさ。
老いてくるとその孤独は深まってくるものだと思うの。
60年代のアメリカという保守的な時代背景をセットに置くことで
トム・フォードは社会から見て"シングルである"ゲイの孤独を
ファッション誌のグラビアのような美しい画で叙情的に浮き彫りにしたわ。
梅林茂の音楽に浸りながら最後の字幕が上がるまで余韻に浸っていたつよこ。
映画館の灯りがともり、ふと後ろを振り向くと手を握りあって真剣に
話し合う中年ゲイ・カップの姿が。
「そうよ!この映画はゲイの老いが裏テーマよ!」との確信に思わず
叫びだしそうになったわ。
意外と言われるんだけど、わたくしアイドルに憧れるという経験が
まるっきり皆無なの。
「空想に恋するよりは現実問題に対処するほうが堅実的よ」
と、どこまでも現実的なプラグマティストつよこ。
やっぱりベルリンのゲイたちの老いのサンプルが同性婚も可能な
「ゲイ先進国」から欲しいじゃない?
●レザー系へと流れる
(レザー系というのも歳をとったゲイのある生き残り方ともいえるわ)
●パートナーと養子をもらいファミリーを築く
というのが傾向としてあるように思うわ。
興味深いのは、どちらも男性性を強調する「レザー」や「ファミリー」
といったカテゴライズされた生き方に落ち着いてしまうということ。
これは男性性(女性性)から自由だと思われがちなゲイが、
(ヘテロセクシャルと同じように)別の意味で捕われているに過ぎない
ということと、ゲイが家族社会に属すことはできなくてもルーツである
家族という形態を求める人も多いという事実を示していなくって?
人類の繁栄である「家族」は未来永劫にくり返される人間の本能的な
営みだと思うの。
そして1人の人格の成長を助ける子育ては、神様から任された人生の中でも
最もやりがいのある仕事のような気がするわ。
デザイナーやアーティストなどクリエーターにゲイが多いのは、
子育てという本能的衝動エネルギーを作品に昇華させることで別の
(精神的)形で世に残せるからなのかぴら?
ねぇ、フォードさん。





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10月2日より新宿バル9トほか全国順次ロードショー
つよこ・フォン・ブランデンブルク
ベルリン在住のライター兼ドラッグクイーン(年齢・性別は不詳)。守備範囲はコスメ、ゴシップ、アート、建築に至るまで幅広い。豊富な人生経験と慈悲の心からつむがれる筆致にファンは多い。

