2010.04.22
我が心のBerluti
オフの15日の木曜日、昼下がりのシャンゼリゼ大通りを歩いて向かったのは、
「エレガンスの聖地」とも謳われる、26, Rue Marbeuf 75008
(パリ8区、マルブフ通り)にあるBerluti。
初代(黒)Andy
僕が2002年9月に渡仏直後、
全ての気概を込めて(と言うか、願をかけて)購入した黒のローファーAndy。
さすがにバテてきたので、新調すべく3週間前に二代目を購入したのですが、
本日がその仕上がり日です。
Andyというネーミングからも想像出来るかもしれませんが、
その昔、現Berluti当主のオルガ・ベルルッティが
アンディ・ウォーホルのためにクリエイトしたという逸品。
そのエレガンス、気品、色気、、、。
これはたまりません。
左:tatouéライン 右:Clubライン 手前:Clubラインの(茶)Andy
僕がfloreの表参道で働いていたころ、
雑誌で紹介されていたのを一目見て虜になったのはたしか1998年かな?
当時、ルイ=ヴィトン ジャポンのお客様相談センターに
「ベルルッティはいつ開店するんですか?」
と電話をしまくっていたのは実は僕です。(笑)
1999年青山ツインタワー・ビル内にある日本・本店のオープン日が
幸いにも当時僕が週一で休んでいた火曜日で、
その初日に行ったことを昨日のように覚えています。
たぶん日本・本店の(名誉ある?)第一号購入者だと勝手に自負しています。
不屈の名作 Alessandro
オルガ女史によって1990年に開発された芸術ともいうべき「ヴェネチア・レザー」。
Berlutiを象徴する素材として、極上の履き心地だけでなく、
比類のない色合いや透明感を意味する「パティーヌ」という技法を実現させるため、
Berluti=茶系という人がほとんどですが、この黒の美しさはどうでしょうか?
この黒アレッサンドロは、オルガ女史が初来日した際に
青山店で催された「靴磨きの夕べ」にも履いていきました。
参加者の中で、僕だけスーリエ(フランス語で靴はchaussuresが一般的ですが、
Berluti人はsouliersと呼ぶ)が黒だったのですが、
オルガの横でシャンパーニュで靴を磨いていると、
『みなさん、彼のスーリエが歓びの声をあげているわ。』と褒めてくれました。
これは言ってみれば、Berlutiのゲスト(顧客)の中でも招待者だけで開催される
「Swan Club」というイベントの真似事だったのですが、
日本では2005年に恵比寿のジョエル・ロブションで開催されたようです。
(ちなみに、Swanとは小説「失われた時を求めて」の作家プルーストの英雄であり、
エレガンスの化身である主人公のスワンから名前が付けられている、ということ。)
前置きが長くなりましたが、こちらが今日受け取りにいった二代目Andy。
特製のシュー・ツリーと布袋は付属品
今回は元祖Clubラインではなく、近年登場したDémesure(デムジュール)ラインのAndyです。
Demesurを辞書で引くと「節度のなさ、身の程知らず」
というネガティブな意味しか出てきませんが、
Berlutiの解釈では、「計り知れない」というポジティブな意味をもつそうです。
3週間前に生成りの状態で試し履きして黒にパティーヌされた、こちらのAndy。
黒は黒でも、今回は「キャビア・ブラック」というものに仕上げてもらいました。
光の加減によって表情を変えるので、日中の太陽光のもとや夜とでは印象が違います。
Berlutiの靴クリーム(正確にはワックスです。)
手前のものは10年ぐらい前のものでパッケージも「いわゆる老舗」という感じです。
いまは無きキャピタル東急に籍を置きながらベルルッティ青山店専属カラーリストとして
パティーヌを任されていた巨匠=井上源太郎さんの教え通り、
10年前のワックスも油が飛んでいい感じです。
源さん、そしてオルガ女史直伝の靴磨きは、僕にとっては大切な至福の時です。
究極的に言えば、これからの人生においても、黒のアレッサンドロとアンディがあれば
他の靴はいらないぐらいです。
今回は先日のブログにも書かせてもらいましたが、
僕がFloreの「メゾン」のギャルソンになって5周年ということもあり、
自分自身気持ちも新たに、という意味合いも込め、Andyを新調してみました。
ちなみに、初代Andyはソールを張り替えるため、本日、お店に預けてきました。
まだまだ履きますよ。
最後に、Madameオルガ・ベルルッティのお言葉をすべての男性に贈ります。
"靴を磨きなさい。そして、自分を磨きなさい。"
Parisより、愛を込めて。
山下哲也
東京生まれ。サルトル、ボーヴォワール、ゲンズブールといった数々のアーティストに愛され続けるパリの6区サンジェルマン・デ・プレにある、世界で最も由緒ある老舗カフェ“カフェ・ド・フロール”のアジア人初のギャルソン。
1885年に“カフェ・ド・フロール”が創業して以来、2005年にフランス人以外でサービスする初めての外国人ギャルソンとなる。2007年には、Newsweek誌で世界が尊敬する日本人100人にも選ばれた。

