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我思う ゆえに我あり。フロールより愛を込めて  カフェ・ド・フロール ギャルソン  山下哲也

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2012.01.06

フロールより愛を込めて

謹賀新年。

親愛なるみなさんにとって、愉しい一年になることを祈ります。

クリスマスから、大晦日の毎年恒例の終夜営業(僕は18:00~元旦朝6:00までの給仕)、家に帰って一眠りして16:30から再び給仕、新年の仕事を終えて、オフの水、木曜日は寝正月を堪能しています。

1930年頃から引退する1970年まで、我がCafé de Floreのギャルソンを務めた伝説のパスカルの証言。

"フロールのテラスは、晴れた日には通行人にとって驚嘆すべきものであります。人相見にとっては、研究課題のなんと多いことでしょう。全体的に、どの顔も安らぎの表情を見せています。喜びが多くの客たちを明るくし、光を放たせています。独特の知性を表す快活な視線、幾人かはガラス張りの屋根に損害を与えそうなくらいに大きなジェスチャーをまじえて話しをするのです。
 最もエキセントリックな装いが、最高の仕立てのスーツと隣り合わせているー色彩は華やいでいます。
 とてもきれいなエレガントな女性客たちが、その美しさで、テラス全体を引き立て、そこに調和しています。
 フロールには、本当に愛し合っている恋人たちも、ブルジョワの年老いたカップルも、ずいぶんと前から愛し合い、いまも愛しあい続けている、法律に認められたあらゆるカップルも来るのです。彼らには、ほろりとさせられます。
 単なる推測ではありますが、うちには特殊な友情で結ばれた客がたくさんいたのではないかと思います。秘めたる欲望を、彼らの目がばらしてしまうのです。
 サンジェルマン・デ・プレは、これからもずっと、といってもどれくらいの間か私にはわかりませんが、パリの最後の村であり続けるでしょう。ある種の格調ある村で、そう簡単には下品に転ばない上品な陽気さが常に満ちていて、それこそが魅力のもとなのです。
 サンジェルマン・デ・プレを知らないあなたはきっとびっくりすることでしょう。人々の気品、彼らの礼儀正しさ、控えめな口調、そしてある時間帯ある場所に漂う真のエレガンスを知ったら。
 サンジェルマン・デ・プレといったら、それは世界の知性の首都なのです。精霊が辺りに君臨し、良い場所にあるテーブルを求めて微妙な空気の中を漂い、そして、特上で高価な飲み物を前にすると、人間の形に有形化されるのです。というのも、私たち宿屋の主人やギャルソンたちは、思い上がった読書家という面も持ってはいますが、頑固でさもしい物質主義者であって、またそうであり続けるでしょうから。
 この界隈では誰もがなんとなくお互いを知っています。人に気が付かれることなく通り過ぎたい人にはお勧めする場所ではありません。ここでは、あらゆる言語を話す、最も思いがけない人々に出会えるのです。世界各地で人々はここを待ち合わせ場所とし、そしてそこで出会えるものだと信じているようです。
 (・・・・・)私たちにとっては、太陽の輝き、すがすがしい空気があり、優しいお客たちがいれば、神様が創り出す毎日には十分なのです。
 私たちは自分たちでは気が付いていないのですが美的感覚の持ち主として、女性たちの優雅さと上品さ、男性たちの粋を評価しているのです。
 私たちの喜びは、他人の喜びにあります。私たちが愛し、そしてそれにお返ししてくれお客様方の役に立てるのは嬉しく、出来得るだけ永くそうしていたいと願っております。"


Tetsuya  alain-michel boley 2012.jpg2011年12月31日の僕。写真© alain-michel boley 2012

知的な人物であることも趣味の良い人物であることも、必ずしも意味するわけではないカフェのギャルソンという職業だけど、その博学ぶりと文学的判断力から、アルベール・カミュから「デカルト」と綽名されたパスカル。
ギャルソン業界のモーツァルト。フロールであるべき姿の人物。
礼儀正しく、教養があり、控え目、正直、事情通、すべてを記憶し、すべてを見て、すべて見破り、残りを推測するけれど、何も語らず。その繊細なる観察と洞察力にもかかわらず、冗談をまき散らし、気が利いて、もしギャルソンの姿でなく他の服装をしていれば、きらめく知性の持ち主と言われただろうパスカル。

(「カフェ・ド・フロールの黄金時代」クリストフ・デュラン=ブバル、中央公論社。より抜粋、若干の書き直しさせて頂きました。ちなみに本書の訳は現madame FIGARO japonパリ支局長の大村真理子さんです。)

新年のご挨拶に代えまして。

Parisより、愛を込めて。


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2011.12.26

From Paris with LOVE

親愛なるみなさん、

クリスマス、年末年始、慌しくも心躍らせていらっしゃるかと思います。

20日(火曜日)夕方16:30からの給仕を始めた直後、Floreのレジのマダムのマリー=エレーヌから「テツヤ、ちょっと来て!」と呼ばれたのでレジに行くと傍らにはバイク宅急便のお兄さんが。

「こちらにサインしてください」と受け取った僕宛の荷物を見て、びっくり!!!(×100ぐらい)

というか、感激しすぎで、涙腺が潤んでしました、一瞬ですが。

なんと言っても、僕にとってイヴ・サンローランというメゾンは特別ですから♥(詳しくは2010年9月の僕のブログを見てください)

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イヴ・サンローラン社のDENEVE社長からのプレゼント?!

みんなの「何で?」や「中身は何?」という声を聞かず、自分のロッカーに仕舞って給仕に戻りました。

帰宅後のお楽しみということで、この日はFlore閉店後、直帰。

果たして、中身は?

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黒のヴェルニ素材のポシェット!!!

粋ですね、さすがに♥

そもそも「気難しく、愛想がない」とFlore仲間うちで語られるDENEVE氏とは先日ちょっとしたきっかけで、彼の「先日東京に行っていたんだよ。」との発言に→「新しくリニューアルした表参道店?」などと会話を交わした際に、「ところで、2012年春夏コレクションの真っ赤なトレンチ素敵すぎて、先週クリスマスプレゼントに買ったんだよ。」etc.と話したばかり。

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本誌madame FIGARO japon1月号(janvier 2012)115ページより。

ということで、僕の愛妻は今年のクリスマスにトレンチとポシェット、ダブルYSLのプレゼント。

いいな〜。

今年一年間ありがとうございました。

From Paris with LOVE

Parisより、愛を込めて。


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2011.11.21

from Paris to Tokyo

11月2日〜17日まで日本に一時帰国していました。夏もヴァカンスを採らなかったので、骨休みです。

Parisで遊んでもらっているデザイナーRYUZO NAKATAさんのプライベート・サロンのお手伝いという任務も兼ねての、休暇。

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東京、そして大阪と美味しいものをたくさん食べちゃいました。

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コアラ食堂(大阪市北区浮田1−1−17)の豚平焼きと、ル・クルーゼ鍋でのクレソンと豚肉の鍋。

かなり暴飲暴食の日本滞在中、当初の予定には無かったけど、

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南仏ニースのKEISUKE MATSUSHIMAのシェフ 松嶋啓介君と彼が主宰する「馬鹿塾」のゲストとして対談したり、

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NHK BSの番組「エル・ムンド」(11月15日放送)のトークコーナーに生出演させて頂きました。

少しでもカフェ、そしてギャルソンの本当の魅力をお伝えする事が出来たら幸いです。

Parisに帰って来て、真っ先にした事といえば、ゲンスブール最期の落とし子 Lucien GAINSBOURGのデビュー・アルバムを購入。

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" from Gainsbourg to Lulu "

お気付きの方も多いかも知れないけど、セルジュ・ゲンスブールのアルバム" de serge gainsbourg à gainsbarre " を捩ったタイトル。

FIGARO japonでもお馴染みのゲンスブール・ファミリーとはちょっと毛並みが違う"ゲンスブール"。

『私は攻撃的な人間ではない。挑発しているだけなのさ。挑発は人々を動かし状況を変化させる。これこそが、アーティストに

課せられた義務だと思える。』と発言していたセルジュ・ゲンスブール。

その意味では、その存在自体「挑発している」ルル。アルバム" from Gainsbourg to Lulu "もそんな彼の魅力でいっぱいです。

from Paris to Tokyo

Parisより、愛を込めて。


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2011.10.24

Floreの楽しみ方:名物Welsh rarebit

みなさんFloreで軽く食事をなされる際に何を召し上がりますか?

パリのカフェっていうと、オムレツ、クロックムッシュetc.というのは、ちょっと安易すぎませんか?

レストラン、ブラッセリー、ビストロ、カフェが共存しているParisでは、特に「カフェの王様」であることを自他ともに認めるFloreでは、カフェの在り方として、昔ながらにシンプルに卵系、サラダ系、スモーク・サーモン、などがメニューに連なりますが、

Floreの名物と言えば、Welsh rarebit(ウェルシュラールビット)。

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1930年からFloreのメニューに存在し、Parisで独占権を何十年も守ってきたという逸品です。

チェダーチーズをビールで溶かし、軽くトーストした食パンの上に流し込み、仕上げにオーブンで焼き上げるウェルシュは、名前からも想像出来る様に、18世紀の大英帝国がもともとは発祥の地。

一度食べたら、病み付きになる味です。ウェルシュを食べる為にFloreに来る常連さん、かなり多いです。と同時に、フランス人、外国人を問わず「Welshって何ですか?」と質問される事がメニューの中では最も多い一品。

百聞は一見にしかず、です。

LEA&PERRINS(リー・アンド・ぺリン)のウスターソースを数滴かけて、熱々のうちに豪快に食べるのが正解。

ビールを飲みながら、というのが良いと思います。

ハマりますよ〜。

Parisより、愛を込めて。


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2011.10.20

PARCOURS SAINT-GERMAIN

今年で第9回目を迎えるPARCOURS SAINT-GERMAINが18日から開幕しました。

サンジェルマン・デ・プレ教会前広場を筆頭に、勿論我がFloreも含めて、至るところで現代アートを展示するイベントです。

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カフェとは、そのカフェが存在する街に直結するもの。また情報発信という機能を果たしているので、サンジェルマン・デ・プレの

顔のFloreのイベントへの参加は避けられません。

開幕日の18日(火曜日)は17:00から、通常営業をしながらカフェの一角を占拠してのカクテル・パーティー。

一般のお客様には迷惑をお掛けした感は否定出来ませんが、と同時に、Floreが何たるかを知って頂けたかもしれません。

23日の最終日まで、Floreの店内でRENAUD AUGUSTE-DORMEUIL氏の作品<LES COLLECTIONNEURS>をお楽しみください。

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PARCOURS SAINT-GERMAINについては、FIGARO japonパリ支局長の大村さんにお任せするとして、

Floreのギャルソンとして一言!

<LES COLLECTIONNEURS>の「奇妙なポートレート」がFlore室内の鏡張りに展示されているので、給仕し難い、、、。

鏡越しに、お客さんとアイコンタクトしたり、自分の担当する縄張りをコントロールするのも、

カフェのギャルソンに不可欠のテクニックです。

Parisより、愛を込めて。


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PROFILE

山下哲也

東京生まれ。サルトル、ボーヴォワール、ゲンズブールといった数々のアーティストに愛され続けるパリの6区サンジェルマン・デ・プレにある、世界で最も由緒ある老舗カフェ“カフェ・ド・フロール”のアジア人初のギャルソン。 1885年に“カフェ・ド・フロール”が創業して以来、2005年にフランス人以外でサービスする初めての外国人ギャルソンとなる。2007年には、Newsweek誌で世界が尊敬する日本人100人にも選ばれた。

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