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鈴木るみこ RUMIKO SUZUKI 編集者 なまけものの庭しごと

4月2日 クリスマスローズを撮るのは

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2月末ごろだったか、ひさしぶりに植木屋さんを頼んだら
緑の密室のようだった庭に、ばっさばっさとたくさんの穴が開けられて
外からも中からも丸見えのあけすけな空間になってしまった。
繁茂の夏が来るまでしばらくのこととはいえ、この光景はかなり心もとない。
さすがにこれは切りすぎでしょう、と奮然となるものも幾つかあって
これだから植木屋さんにまかせるのはいやなのだが
枯れ葉は放射性物質をためこんでいるともいうし
アジサイやツツジの灌木も花をつけなくなってきていたので
庭の再生のための大手術と、じぶんに言い聞かせながらぐじぐじと過ごしている。

そのさみしい庭に、例年通りにまず椿が花をつけ、つづいてクリスマスローズが咲いた。
この花は、ある年齢を超えた女の心をふしぎに惹きつける花のように思う。
そろってうつむいて咲く一群の花は余寒の庭にうれしい春の気配を運び
花の高さまでしゃがみこみ、首をかしげて覗いてやっと見える蕊や花びらの内側の柄は
ほうとためいきをつくほどに愛らしい。

このクリスマスローズの姿を撮ろうと何度も試みたが
地に咲く姿のよさは、わたしの技術では思うようにうつしとることができない。
そこで切り花を花瓶にいけ、横から撮ったり下から撮ったり、
ようやく気に入った一枚が上の一枚である。
気に入ったのは、うまく「抽出」できたと思ったからで
自分でも漠然と説明しがたいこの花の魅力の本質を
カメラが偶然あるいは必然的につかみ取ってくれたかなという感じだ。

うつむき花のほろほろ落ちたる金色の蕊


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PROFILE
鈴木るみこ

編集者。出版社勤務を経て渡仏後フリーに。仕事のテーマは、旅と詩と生活と美しいもの。みどりのゆびは授からなかったが、みどりをいじるのは好き。海と山のある町の庭つき一軒家で暮らす。