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Behind the Disk by 高田漣

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2010.04.27

FLATBACK CAPERの話

僕が初めて買ったCDは、ザ・バンドの「ビッグ・ピンク」と
フェアポート・コンベンションの「リージ&リーフ」でした。
まだ外箱が長細かった頃の話ですね(笑)。

毎度ばかばかしい話を一席。

「リージ&リーフ」を初めて聴いた時、ペンタングルの時と同じ寒さを感じたのですが、
アナログでレッド・ツェッペリンの 4th を聴いていたので、あの声の人だ!
と驚喜した熱の方が勝っていたのかも知れません。
あの声とはサンディ・デニーの声のことです。

100427takada_P1.jpg


フェアポートは西海岸のサイケやフォークロックに影響を受けた
英国のバンドでしたが徐々に独自の音楽性を見つけ
この「リージ&リーフ」でひとつの頂点を極めました。
脈々と続く英国の民謡をロックのメソッドで演奏するというスタイルを確立したのです。
それまでの過程は年代順に彼らのアルバムを追って聴くのも良いと思います。
さらに彼らのルーツを知るなら先週載せたBBCに残したセッションがお勧めです。
エリック・アンダーソンやジョニ・ミッチェルや元バーズのジーン・クラーク、
レナード・コーエンからジョニー・キャッシュやエヴァリー・ブラザーズや
もちろんディラン等、様々なアーティストのカバーをする中で
自分たちのアイデンティティーないしは方法論を発見したのでしょうね。

その後、この英国民謡ロック的世界観をさらに押し進めたのが
「リージ&リーフ」までのベーシストのアシュリー・ハッチングスのこの盤。
このアルビオン・バンドで歌っていたのは伝統歌手のシャーリー・コリンズで
彼女の諸作は素朴ですがとっても心に染みます。良いんですよぉ~(笑)

100427takada_P2.jpg


さて、その「リージ&リーフ」はというと
重く刻まれるリズムの海にリチャード・トンプソンのねじ曲がったギターと
デイヴ・スワーブリックの軽やかなフィドルが絡み合う。
そして何よりもサンディ・デニーの英国の寒さを表すかのような声。
その声はカナダの寒さの声のジョニ・ミッチェルとの近似性を感じますね。
このアルバムを聴いている時にまたしても伯父が気になる発言をした。
「これも良いけどフルハウスが最高やで」
その時は何となく「ふ~~ん」と聞き流したのですが。
しばらくして僕がギターを弾いていると、しかもエレキを弾いていると
聞きつけた親父は僕を自分の家に呼びつけた。「聴かせたいものがある」と。
正直言いまして「面倒くさいな」と思っていました(笑)。
別々に暮らしていた親父はいつも酔っているような印象で
最後の方は必ず話が無限ループ状態で御本人は夢の中へ!という感じだったので。
ただその時は比較的大丈夫で(笑)、これを聴け!と
おもむろにターンテーブルに盤を載せました。
聴こえてくるのはマンドリンの軽快なインストゥルメンタル。
だがリズム隊がロックだった。
まさしく、これはフェアポートの「リージ&リーフ」の次のアルバム「フルハウス」の
収録曲「FLATBACK CAPER」でした。

「分かるか!大事なのは下地があれば何でも出来るってことだ。」

この言葉は親父の音楽性を端的に表していると今になって思います。
そういう伝統というか過去に敬意を払いつつ
新しい事をするアーティストが好きだったんだと思います。

「リージ&リーフ」が陰なら「フルハウス」は陽なのでしょうか。
どちらにしてもサンディ・デニーという声を失ったバンドは
それまでの体制からマイナーチェンジして、よりインストゥルメンタル部分を
さらに強化した演奏を繰り広げ、男臭い歌と共にまたしても名盤を作ったのです。
この時期のさらに脂の乗った演奏はこちらのライブ盤で楽しめます。

100427takada_P3.jpg


その後に親父が勧めたのが先週のペンタングルでした。
これは知ってると思っていたら、その後そのペンタングルと似ているが何か違う音が。
「に、日本語だ、、、」そのバンドの名前は「愚」。
バート・ヤンシュやジョン・レンボーンのようなアコギの音は
親父の旧友の中川イサト氏で、その透き通るような歌声は金延幸子さんでありました。
金延さんの「み空」を初めて聴いた時も本当に驚きましたが。
その金延さんが久しぶりに日本に戻り、どこかのフェスでお会いするのはずっと後の話。

そんな親父が一時期凝っていたのがスコットランド民謡の「シーベック・シーモア」
という曲の色んなバージョンを集める事でした。
なかでも有名なのはフェアポートの名フィドラー=デイヴ・スワーブリックのソロ作。
僕もこのヘビースモーカーのフィドラーが大好きで色々収集してました。
特にほぼ自主制作のこのライブは完全ソロですが全く飽きないですね。
こんな風にフィドル弾ければなぁ、、、。

100427takada_P4.jpg


フェアポートからは本当に多くの事を学びました。
それはテクニックの話ではなくて人と音楽との結びつきの話です。
その人の、あるいはその土地の生きてきた歴史と音とは切っても切れない、
そんな音に惹かれ始めたのが僕が楽器を弾き始めた時期と符合するのです。
そして間もなくして僕は日本のフィドル・ミュージックとして演歌
(今で言うそれではなく街頭で演奏されていたものです)を見つけるのですが、
すぐに添田 唖蝉坊に行きつき、親父の諸作に繋がったのです。

もといた場所に戻って来たのです(笑)

さて、そのフェアポートの名ギタリスト=リチャード・トンプソンの話はまた次回に。

高田漣

100427takada_P5.jpgMacは聴いた!彼のフィドルは酷い(笑)

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2010.04.27  |  CULTURE

PROFILE

高田漣

1973年、日本を代表するフォークシンガー・高田渡の長男として生まれる。14歳からギターを始め、17歳で、父親の旧友でもあるシンガーソングライター・西岡恭蔵のアルバムでセッション・デビューを果たす。現在は、スティール・ギターをはじめとするマルチ弦楽器奏者として細野晴臣、高橋幸宏、ハナレグミ、アン・サリー、畠山美由紀、Human Audio Spongeなどのレコーディングやライヴで活躍中。ソロとしても今までに5枚のアルバムをリリース。2008年には、高橋幸宏、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦の6人で「pupa」を結成し、デビュー・アルバム『floating pupa』を発表している。同年、崔洋一監督によるショートフィルム「ダイコン」(小泉今日子主演)の音楽を担当。

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