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Behind the Disk by 高田漣

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2012.01.10

2012年のまくらの話

新年明けましておめでとうございます。

一年の計は元旦にありと昔から言われますが、
基本的に朝からお酒を飲んで普段以上にだらだらとして、
後はゴロゴロしながら箱根駅伝を観るというのが
毎年恒例の僕のお正月の過ごし方なのですが、
となると今年も、、、(笑)?
いや今年は、今年こそは
気を引き締めていきたい所存であります。

ところで、お正月に限らず僕の休日の過ごし方はと言えば
落語のDVDやCDを観たり聴いたりというのが
ここ数年続いているのですが、
毎回気になるのが落語家さんが
冒頭のまくらから噺に入る間合いであります。
いくつかのくすぐりがあって、それが本題のテーマであったり
あるいは全く関係なく時事ネタを話していたのに、ふと、とか、
あるいは去年の年末に惜しくも亡くなられた
立川談志師匠のように、その噺のケチをつけながら入るとか、
ともかく、みなさん自然でその瞬間も楽しみの一つであります。

「奥さん!いま噺に入りましたよ(笑)!」

何てパターンもありますね。
そんな落語家さんのまくらと噺の境界と同じく
とある瞬間に歌に入ってしまうという、
初めての経験を先日、年末に世田谷で行われた
詩の朗読イベントに参加した際に経験しました。
それは昭和を代表する詩人の山之口貘さんの詩で
親父が音を付けた「鮪に鰯」を歌った時でした。
あれ?と思った時に半ば自動的に歌う自分と
歌の中で物語を感じる自分とがいるような感覚で
今までは苦手だった歌い回しの部分が
初めて上手くいき、歌いながら客観的な自分が

「お、タカダワタル的な歌い方だな。
そうか!だから親父はこう歌っていたんだな。」

なんて思っていたり。上手く歌った云々ではなく
初めて歌えたなと思える瞬間でした。

そう言えば、親父とは沢山ステージを共にしましたが
親父の背中とお客さんの間には
いつも歌詞カードがありました。
だから大概の場合、僕は親父が次に何を
歌おうとしているのかが分かった状態で
独特な、あのMCを聞いていました。
(ほとんど場合、曲順はその場で決められていたのですw)
一見、無秩序に話しているようでいて
次の曲に話をつなげている事も多く、
調子が良ければ話が落ちて繋がるのですが、
支離滅裂なままなことも多々ありました(笑)
あるいは歌詞カードを探しながら、その話を続けたものの
見つからず断念!なんて事も多々(爆笑)
それと常套句のように、この曲にはこの話を
などと言うものも多かったので、
こちらも歌詞カードを見るまでもなく準備出来たりでした。

それはまさに親父にとっては、まくらであり、
演奏した瞬間に歌に入っていたのだろうなと思います。

僕は今まで声を素材に楽曲を作ったことは何度もありますが、
本当の意味で歌に向かったのは去年が最初だと思います。
ですから、まだまだ前座さんです(笑)
これから、今まで以上に精進して真打ち昇格を目指して
がんばりたいと思います。

甚だ簡単ではございますが、これにて
新年のごあいさつに変えさせて頂きます。

さて、毎度ばかばかしい話を今年も、、、

高田漣

20120110takada_P1.JPG新春に紀伊國屋書店で買った二冊。
落語手帖と古今亭志ん生師匠の名著「なめくじ艦隊」大昔に図書館で借りて以来です

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2012.01.10  |  CULTURE

PROFILE

高田漣

1973年、日本を代表するフォークシンガー・高田渡の長男として生まれる。14歳からギターを始め、17歳で、父親の旧友でもあるシンガーソングライター・西岡恭蔵のアルバムでセッション・デビューを果たす。現在は、スティール・ギターをはじめとするマルチ弦楽器奏者として細野晴臣、高橋幸宏、ハナレグミ、アン・サリー、畠山美由紀、Human Audio Spongeなどのレコーディングやライヴで活躍中。ソロとしても今までに5枚のアルバムをリリース。2008年には、高橋幸宏、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦の6人で「pupa」を結成し、デビュー・アルバム『floating pupa』を発表している。同年、崔洋一監督によるショートフィルム「ダイコン」(小泉今日子主演)の音楽を担当。

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