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今日も美的にタカラヅカンゲキ!

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2012.01.23

東京特別公演『Samourai(サムライ)』

幕末、倒幕を企てる坂本龍馬らと親交を持ち、文明国フランスへの洋行を果たした前田正名。人生の大半を海外で過ごしたせいもあり、その名をあまり知られていない人物、正名の半生にスポットを当てたのが、この『Samourai(サムライ)』です。雪組トップスターの音月桂さんを中心に、計30名の雪組生によって上演された異色のミュージカルを観に、日本青年館に行ってきました。お恥ずかしながら、私も前田正名という名を存じていなかったのですが、知れば知るほど興味深く、魅力的な人物のようです。


120123kurata_01.jpg『Samourai(サムライ)』の公演プログラム。

正名が日本代理公使の補佐官を務めながら国際学校に通っていた1870年頃。日本のサムライは、まだ髷を結い、羽織袴を着て腰に刀を差していました。長い船旅の末、フランスの地に降り立った正名は、いくばくのカルチャーショックを受けたことでしょう。フランス人の侮蔑的な態度による屈辱も、言葉に尽せないほどあったはずです。今でこそ、そんなことも少なくなりましたが、恐らく数十年前まで、欧米では私たちアジア人に対するさまざまな偏見や差別があったことと思います。

そんな折、交戦状態に入ったフランスとプロイセン。すぐに降参してしまったフランス正規軍に頼らず、自分たちの街は自分たちで守ろうとするパリ市民とともに立ち上がった正名・・・。日本人でありながら異国のために闘うサムライの姿に、頑なだった態度を和らげる日本代理公使の養女、マリー(舞羽美海さん)。正名と同じ日本人留学生の渡会晴玄(早霧せいなさん)・・・。


120123kurata_02.jpg坂本龍馬らと親交を持った実在の人物、前田正名を演じた雪組トップスターの音月桂さん。

私、戦争や復讐、テロなどを扱ったものって、どうしても好きになれないんです。とくに宝塚歌劇では、こういう題材をテーマにする必要性がない、とずっと思っていました。この作品にも戦闘シーンや、人が死んでいくシーンがたくさんありそうで、最初はまったく期待をしていなかったのです。

けれど、今回の『Samourai(サムライ)』では、戦いの背景にある、サムライ精神の崇高さ。人種や国は違っても、市民ひとりひとりが持つ正義感と誇り、階級や偏見に縛られてしまう人間の愚かさなどが、渡会との友情や、正名と出会って変わっていくマリーの姿などを通して描き出されています。つまり、とても深いヒューマンドラマになっているんですね。

正義感にあふれ、純粋なまでにまっすぐな前田正名をケイちゃん(音月さん)は、もうこれ以上ないくらいぴったりに演じていて、本当に素敵でした! ケイちゃんって、フェアリータイプの男役さんだと思っていましたが、ダイナミックな立ち回りや、強くて熱い眼差しなど、今までにない新しい側面に触れられたような気がしました。

また、渡会は、原作では大男とのこと。ちぎちゃん(早霧さん)は、どちらかというと華奢で繊細な印象の男役さんですが、豪快で器の大きいサムライの雰囲気をしっかりだしていて、とてもいい感じ! 戦いに敗れ、ベール・ラシェーズ墓地で息をひきとるシーンでは、熱いものがこみ上げてきました。せつなく悲しい物語ではありますが、生き残った正名とマリーは、命あることに感謝し、一歩一歩進んでいこう、と誓い合う――。脚本・演出の谷正純先生のメッセージ性が強く感じられるシーンでした。


120123kurata_03.jpg坂本龍馬と、パリ市民兵の隊長フルーランス少尉を演じた緒月遠麻さん。

坂本龍馬と、パリ市民兵の隊長であるフルーランス少尉の二役を演じた緒月遠麻さん。市民兵のひとり、チプリアニを演じた香綾しずるさんなど、脇を固める人たちの演技もすばらしく、同行した友人など「こんなにすばらしい作品、たった1週間の上演だけなんてもったいない!!」と力説していました。


120123kurata_04.jpg市民兵のチプリアニを演じた香綾しずるさん。

本当に残念ながら、もう恐らく二度と生の舞台では観ることのできない『Samourai(サムライ)』。なんとかスケジュールをやりくりして観に行って本当によかった! 最後に男役さんたちが、宝塚歌劇の原点である黒燕尾を着て群舞。凛としたその姿は、まるで本物のサムライのよう。そうです。サムライ精神は、何かに向かってまっすぐに突き進んでいるすべての人の中に宿っているんですね! 日本人であることが、とても誇らしく感じられてきました。

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2012.01.23  |  BEAUTY

PROFILE

倉田真由美

25年以上のキャリアを持つ美容ジャーナリスト。女性誌編集部、編集プロダクションを経て独立し、女性誌の美容ページや新聞のコラムなどで執筆活動を続ける。現在は『フィガロジャポン』(阪急コミュニケーションズ)をはじめ雑誌などで活躍。また近年は、美容や健康にまつわる講演を行なうなど活動の場を広げ、 女性のライフスタイル全般における啓蒙活動にも力を注いでいる。近著は『しあわせ美人のつくりかた』(ぶんか社文庫)。
*タイトルの“タカラヅカンゲキ”は、宝塚と観劇、及び感激を組み合わせた造語です。

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